FX EAのポートフォリオがリスクを下げるのは、ロボットの結果が連動しないときだけです。ロボットの数だけではほとんど何もわかりません。一つのリスク枠を共有する同じ大きさの三つのEAの値動きの幅は、相関が0なら単体のEAの約58%ですが、0.8なら約93%です(当サイトの計算)。したがって、相関はEA自身の結果で測る必要があり、計画は最悪の時期が重なっても耐えられるものでなければなりません。
以下では、EAにとって相関が何を意味するのか、分散投資で実際にどれだけのリスクを減らせるのか、隠れた重複はどこから生じるのか、それをどう測るのか、ポートフォリオ全体のドローダウン枠をどう決めるのかを解説します。初めての方は、最初のいくつかのセクションとチェックリストだけでも始められます。後半は、すでに複数のシステムを運用しているトレーダー向けです。ポートフォリオを組んでも、負けるシステムが利益を出せるようになることはなく、損失のリスクがなくなることもありません。
EAにとっての相関とは
相関は−1から+1までの数値で、二つの系列がどれだけ連動して動くかを示します。
| 相関 | 二つのEAにとっての意味 |
|---|---|
| +1 | 良い日も悪い日も常に重なる |
| 0 | 結果に線形の関係がない |
| −1 | 一方が良い日は他方が悪い日 |
重要なのは、取引する通貨ペアの相関ではなく、EAの日次の結果の相関です。EUR/USDで取引する二つのEAでも、一方がトレンドを追い、他方がレンジで取引するなら、結果は大きく異なることがあります。別々の通貨ペアで取引する二つのEAでも、どちらも同じ時間帯にドルを売るなら、似た動きになることがあります。
分散投資でどれだけのリスクを減らせるのか
ボラティリティが同じで同等のEAの場合、一つのEAと比べたポートフォリオのボラティリティは次のとおりです。
√((1 + (n − 1) × 相関) ÷ n)、nはEAの数です。
重要なのはサイズの決め方です。三つのEAが一つのEAのリスク枠を共有すれば、ボラティリティは下がります。それぞれを一つのEAで使うフルサイズで動かすと、ボラティリティは上がり、分散投資はその上昇を和らげるだけです。
| 相関 | 3つのEAで枠を共有 | 3つのEAを各フルサイズ |
|---|---|---|
| 0.0 | 58% | 173% |
| 0.5 | 82% | 245% |
| 0.8 | 93% | 279% |
| 1.0 | 100% | 300% |
当サイトの計算。一つのEAと比べたボラティリティ。同じ比率、同じボラティリティを仮定しています。
また、EAを追加するたびに、その効果は前回より小さくなります。相関0.5で一つの枠を共有すると、次のようになります。
| EAの数 | 一つのEAと比べたボラティリティ |
|---|---|
| 2 | 87% |
| 3 | 82% |
| 5 | 77% |
| 10 | 74% |
| 限界 | 71%(√0.5) |
同じ仮定による当サイトの計算。
つまり、ロボットをいくら増やしても、リスクの共通部分は残ります。EAのリストを長くするより、相関を下げるほうが効果があります。なお、ボラティリティが表すのは通常の値動きの幅です。最悪の週についてはほとんど何も教えてくれないため、後ほど別にドローダウン枠を設けます。
隠れた重複はどこから生じるのか
- 共通の通貨。EUR/USDとGBP/USDを買うことは、ドルを二度売ることを意味します。これらの通貨ペアは連動することが多いため、1%の取引二つは、2%の取引一つに近い動きをします。詳しくはFXの資金管理で示しています。
- 同じロジック。トレンドフォロー型の二つのシステムは、同じレンジ相場で負けやすくなります。含み損のポジションに買い増しや売り増しをする二つのシステムは、同じ強い値動きで同時に苦しくなりがちです。
- 同じ時間帯。同じ取引セッションで動くEAは、同じニュースと、ロールオーバー時の同じスプレッド拡大に直面します。
- 同じ口座とインフラ。一つの証拠金残高、一つの業者、一つのVPSは、そこで動くすべてのEAに共有されます。ルールが変われば全部が同時に影響を受けます。FXOpenがSTP口座を廃止したときは、その口座で取引していた全員が移行を迫られました。
反対方向の取引は無料のヘッジではありません。EUR/USDのBUYとGBP/USDのSELLはドルのエクスポージャーの大部分を打ち消しますが、残るものはEUR/GBPのポジションに近い動きをします。それは独自のリスクを持つ取引であり、保有するためにスプレッドを二回分支払います。
二つのEAの相関を測る方法
- 同じ日付について、各EAの日次の結果をパーセントで集めます。バックテストよりリアル口座のほうが適しています。テスターでは、二つのシステムが実際の条件でどう動いたかはわからないからです。
- 二つの列をスプレッドシートに入れ、ExcelまたはGoogleスプレッドシートのCORRELを使います。
- 週次の結果で繰り返します。取引の少ないEAは結果がゼロの日が多く、二つのEAが同じ週に負けていても、ゼロの日が日次の数値を0に近づけてしまいます。
- 複数の期間で繰り返し、どちらかのEAがドローダウン中だった週を別に確認します。
- 二つのエクイティカーブのドローダウンの日付を比べます。深いドローダウンが重なっているなら、平均値がどうであれ、その二つは相関があるものとして扱いましょう。
サンプルが短いと、大まかな答えしか得られません。本当の相関が0に近くても、測定値は次の程度まで簡単に離れることがあります。
| データの取引日数 | 0を中心とする概算の95%範囲 |
|---|---|
| 60(約3か月) | ±0.25 |
| 125(約6か月) | ±0.18 |
| 250(約1年) | ±0.12 |
当サイトの計算:±1.96 ÷ √日数。日次の結果が独立していると仮定しています。実際のEAの結果がこれほどきれいなことはまれなので、この範囲は最低限の目安と考えてください。
相関は一定ではない
落ち着いた数か月の数値は、ストレスのかかった相場についてほとんど何も教えてくれません。国際株式市場の研究では、下落相場で相関が上昇することが示されています(Longin、Solnik、Journal of Finance、2001年)。この研究は株式に関するもので、通貨やEAに関するものではないため、FXのルールとして読まないでください。それでも、一つの低い数値の上に計画を立てるべきでない十分な理由になります。FXでは、ドルの大きな値動きが複数の通貨ペアを同時に同じ方向へ動かすことがあります。分散投資は最も必要なときほど効きにくいかもしれないと考えておきましょう。
ドローダウン枠を作る
相関に頼るのではなく、最悪の時期が重なるものとして計画します。実際に取引するロット数での、架空の数字による例です。
| 過去の最大ドローダウン | 0.8倍に調整後 | |
|---|---|---|
| EA 1 | 1,000ドル | 800ドル |
| EA 2 | 800ドル | 640ドル |
| EA 3 | 700ドル | 560ドル |
| 想定額 | 2,500ドル | 2,000ドル |
10,000ドルの口座なら、2,500ドルは25%です。上限が20%、つまり2,000ドルなら、三つすべてを2,000ドル ÷ 2,500ドル = 0.8倍に調整します。重複を避けられた分はおまけであり、計画の一部ではありません。
- 過去のドローダウンは天井ではありません。次のドローダウンはもっと深くなることがあるため、ぎりぎり耐えられる程度の上限では高すぎます。
- 小さなロットは端数処理が粗くなります。業者の刻みは通常0.01ロットなので、0.03ロット × 0.8 = 0.024は0.02になり、削減幅は五分の一ではなく三分の一になります。端数は切り捨て、合計を確認し直しましょう。
- 保有中のリスクも確認しましょう。全EAの保有中の取引のリスクを合算します。多くのトレーダーはこれを数パーセントに抑えており、ロット計算ツールで取引ごとの計算ができます。
一つのロボットでリスク率、ロット数、ドローダウンがどう関係するかは、FX EAの重要な設定で解説しています。
一つの口座か、複数の口座か
一つの口座はシンプルで、証拠金は共有されます。それがリスクでもあります。ロスカット(stop out)は口座全体を見るため、一つのEAの深いドローダウンが他のEAの取引を決済してしまうことがあります。MetaTraderはマジックナンバー(magic number)という番号でEAの取引を区別するため、一つの口座で二つのEAを動かす場合は、それぞれのマニュアルでそのEAが自身の取引をどう識別するかを確認しましょう。
別々の口座なら、各EAの証拠金と統計が分かれ、相関も測りやすくなります。失う可能性のある総額は変わらず、それぞれの口座に、予定するロットを維持できるだけの資金が必要です。すべて同じ業者なら、業者のリスクは共有されたままです。
EAを追加する前のチェックリスト
- どのロボットも見る前に、許容できるドローダウンの総額を金額で書き出します。
- 各EAの通貨ペア、売買方向の偏り、戦略の種類、取引時間を一覧にし、共通点に印を付けます。
- 日次と週次の結果で相関を測り、ドローダウンの日付を比べます。
- 使うロット数での過去の最大ドローダウンを合算し、上限に収まるように調整します。
- すべてのEAが同時に取引を保有しても証拠金が足りるか確認します。
- どうなったらEAを停止または除外するかを、あらかじめ決めておきます。
候補を比較するには、当サイトのFX自動売買ロボットのカタログをご覧ください。各ロボットのページに通貨ペア、時間足、リアル口座を掲載しています。
よくある質問
EAはいくつ同時に動かすべきですか?
正解の数はありません。結果がどれだけ重なるか、どれだけのドローダウンを許容できるかによります。相関0.5での当サイトの計算を見ると、多ければ良いとは限らない理由がわかります。一つの枠を共有すると、一つのEAと比べたボラティリティは、EAが三つで82%、十で74%です。
EA間の相関はどれくらい低ければ十分ですか?
公式の基準はなく、一つの数値だけでは誤解を招くことがあります。0.5でも、同じ大きさの三つのEAには一つのEAの約82%のボラティリティが残ります。複数の期間を測り、週次の結果を見て、深いドローダウンが同じ日付に重なっていないか確認しましょう。
同じ通貨ペアの二つのEAで本当のポートフォリオになりますか?
結果が異なるならなります。たとえばトレンド型とレンジ型のシステムです。ただし、同じ方向に取引するときはロットが合算され、その通貨ペアのショックもすべて共有します。戦略の名前から推測せず、相関を測りましょう。
EAごとに専用の口座が必要ですか?
必須ではありません。別々の口座なら証拠金と統計が分かれるため、一つのEAのドローダウンが他のEAのロスカットを引き起こすことはありません。一つの口座はシンプルで証拠金を共有できますが、ロスカットは口座全体を見ます。どちらを選んでも、失う可能性のある総額は変わりません。
EAのポートフォリオでドローダウンはなくなりますか?
いいえ。結果が連動しなければ値動きの幅を小さくできますが、複数のEAが同時に負けることはあり、ストレスのかかった相場では相関が上昇することもあります。最悪の時期が重なるものとして計画し、将来のドローダウンが過去より深くなる可能性も受け入れましょう。
まとめ
- 相関が低ければリスクは分散されます。ロボットの数だけでは分散されません。
- 相関は通貨ペアではなく、EA自身の日次と週次の結果で測りましょう。
- 三つのEAをフルサイズで動かすと、相関がゼロでもリスクは増え、一つのEAの約173%のボラティリティになります。
- 通貨、ロジック、時間帯、口座、業者という共通点を探しましょう。
- 最悪の時期が重なるものとして全体のドローダウン枠を計画し、それに合わせてロットを調整しましょう。
これから始める方は、まずFXの始め方ステップガイドをお読みください。
この記事は学習目的の情報であり、投資助言ではありません。過去の結果は将来の結果を予測するものではありません。レバレッジ取引には損失のリスクがあります。